脳性まひなどで手が不自由な人がギターを演奏できる補助装置を、三重大学大学院工学研究科の研究員、西ノ平志子(ゆきこ)さん(44)が開発した。「障害の有無にかかわらず、多くの人に楽器演奏の楽しさを味わってもらえたら」と話す。
西ノ平さんは三重大学の学生時代、ロボット工学を専攻。課外活動では、大人数で編成するジャズのビッグバンドで、ピアノを担当していた。大学院修士課程を修了した後、音楽療法の勉強を始めた。
補助装置を開発しようと思い立ったのは2015年。音楽療法のボランティアをしている三重県亀山市の障害者デイサービスセンターに、アコースティックギターを持って行ったのがきっかけだった。
複数の利用者から「自分も弾いてみたい」と声をかけられた。そのうち1人は脳性まひで体に障害があったが、指先を動かしてマウスをクリックすることができた。西ノ平さんは「この要領で、弦を押さえられる方法はないか」と模索するようになった。
デイサービスセンターの利用者や理学療法士の意見を参考にして、17年に装置の原型を完成させた。ギターのネックに取り付けた器具を手でスライドさせて鳴らす音を選び、手を置いてマウスのようにクリックすると、機械が作動して六つある弦を同時にすべて押さえる仕組みだ。弦はもう片方の手ではじく。
人前で演奏できるまで上達した…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル